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スタッフ全員がクレーム対応スキルを備えるべきか

「ただいま担当のものが参ります」
「お尋ねの件は○○(スタッフ)の方からご説明申し上げます」

このような応対は誰もが受けたことがあるだろう。このような応対を受けたとしても、普通のときならば、それほど気にもならないでしょう。

「じゃぁ、待ってみようか・・」

少し待ってみればいいことです。しかし、商品やサービスで何か不都合があったときに苦情をいいたいときに同じような応対を受けたとしたら、多分かなりの割合で気分を害するのではないでしょうか。

少なくとも、お客様の怒りやいらいらを緩和する方向に誘導するチャンスを失ったことは確かです。何よりも、お客様のマイナスの感情を少しでも緩和するように、あらゆる仕掛けをつくっていかなければいけません。

そういう点で言えば、クレーマー対応・クレーム対策のスキルをすべてのスタッフが持ち、クレーマークレーム担当者がいなくとも十分な対応・対策ができたほうがいいのでしょうか?

もしスタッフ全員がクレーマークレームに対応・対策するためのスキルを持っているなら、お客様が持ち込んだ苦情や問題をチャンスを失うことなく、即時に対応することができます。お客様のマイナスの感情を間髪いれずに緩和していけたら、クレーム処理がどんなにスムーズに進むことでしょう。

確かにこれは理想形です。「すべてのスタッフがクレーマー対応能力を持つ」というようなことができれば、それはそれに越したことはありません。しかし、現実問題としてそのようなことは不可能でしょう。その理由は以下のようなものがあります。

(1)クレーマー・クレームの質が多種多様で、簡単なマニュアルができない。あるクレーマーには有効でも、他のクレーマーには逆効果の場合があるなど、不確実性が高い。

(2)アルバイトやパートのスタッフが多い場合には教育がそれほど徹底できない上、ちゃんとした教育を行うならば、コストがかかりすぎる。アルバイトやパートのスタッフは離職率が高いため、せっかく覚えてもらったスキルもすぐに失われてしまう。

(3)クレーマー・クレームの発生が絶対数として少ないため、すべてのスタッフがちゃんとしたスキルを磨くための「当事者意識」を醸成できにくい。

(4)クレーマー・クレームの対応はストレスが大きいため、スタッフが拒否反応を示す。

このように、すべてのスタッフがクレーマー・クレーム対応のスキルを完全に備えることはできません。そのため、より現実的な選択として「クレーマー・クレーム即応スキル」に徹した教育をすべてのスタッフに行うことです。

少なくとも、クレームを持ち込まれたときにお客様のマイナス感情を緩和し、専門のスタッフがすぐにクレーム処理にかかれるような前処理をする能力です。このような即応スキルをすべてのスタッフが備えているならば最善であるといえます。