クレームの統計データ
マスメディアを中心に、クレーム、クレーマーについての話題が広がりを見せているが、果たして実際にクレーム、クレーマーが増えているのだろうか?
そこで資料となるのが内閣府が2003年に実施した「企業における消費者対応部門及び自主行動基準に関する実態調査」である。
この調査によると、直近5年間のクレーム受付件数が増えた企業は、全体の74.4%にもなっている。クレーム受付件数が増加する傾向は確かなようである。また、クレーム件数の増加に伴い、クレーマー対応の専門スタッフ数を増加させた企業は全体の64.1%に上る。
クレーム対応を担う部門は24.6%が独立した部門で運営されており、続いて、CS部門(14.6%)が多い。同じようにサービス部門、商品企画・開発部門等がクレーム対応を担当している。特にCS部門がクレーム対応の部門とした企業は大きく増えている。
顧客満足やサービス部門がクレーム対応を担うようになっている背景には、クレーム対応の目的が、「商品の品質重視」から「顧客満足の一環として消費者対応の機能」へと重点が移ってきているためだろうと考えられる。
独立した部門 | 24.6% |
CS部門 | 14.6% |
品質管理 | 13.2% |
営業部門 | 12.8% |
サービス部門 | 8.2% |
広報部門 | 4.6% |
総務部門 | 4.6% |
企画開発部門 | 4.3% |
MK部門 | 3.6% |
生産部門 | 1.1% |
その他 | 7.8% |
無回答 | 0.7% |
このように、企業がクレームを通じてお客様の情報を入手し、どのように活用しくかの考え方は変化してきている。経営が消費者対応部門へどのような活動、効果を期待しているのかについての質問(複数回答)をみると、やはり「苦情・相談を通じての顧客満足」を挙げている企業が一番多い(96%)。次いで多いのが「迅速・的確に関連部署に伝達し活用を図る」で、82.4%になる。このように、迅速なクレーム対応が重要だと考えている。
一方、不具合の早期発見や品質向上など、製品サービスの開発・改善を挙げる企業も増加傾向にあり、クレームをどのように生かしていくかを考える「高いクレーム活用」のノウハウの蓄積が進みつつあると考えられる。
苦情・相談を通じての顧客満足 | 96.0% |
迅速・的確に関連部署に伝達し活用を図る | 82.4% |
不具合点の早期改良など、危機管理対応の窓口 | 80.6% |
要望から商品の質的向上や開発に貢献する | 79.1% |
消費者と企業を結ぶパイプ役を果たす | 66.2% |
消費者情報を企業行動や経営にフィードバック | 64.4% |
顧客の再購入に結びつける | 51.4% |
企業環境の変化をトップマネジメントに伝達 | 47.8% |
企業の考えを示す情報発信のアンテナ基地 | 24.8% |
特に期待されていない | 0.0% |
その他 | 1.1% |