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当事者意識の重要性

いうまでもなく、クレームは商品やサービス、経営の改善に役立つ最も重要な資源です

ほとんどのお客様はたとえ、不満や苦情があったとしても、企業にクレームをつける労力を払うのが嫌なため、クレームを下さることはありません。クレームをつけるという行為で、「いやな気分になりたくない」という心理からなのです。

ですから、企業にとってお客様からのクレームが「ない」というのは提供している商品やサービス、経営が改善の余地がないほど優秀な証拠として考えるのは危険です。

果たして、お客様は満足されてクレームを下さらないのでしょうか?それとも「いやな気分になりたくない」からなのでしょうか。


クレーム対応は「クレームを経営改善に役立たせるためにする」ばかりではないのです。クレーム対応自体が顧客サービスなのです。

クレームを企業へ伝えること自体はお客様にとって、たいへん労力が必要なことです。勇気を出してクレームを下さったお客様に「クレームをつけてよかった」と感じてもらうことが最低限の企業側の対応といえるでしょう。

スタッフは十分にお客様の話を聞き、一緒になって問題を解決していく真摯な姿勢を見せなければならないのです。

まず、何をしてはいけないか。不適当な対応を前回、以下の8つのケースの中から3つを説明しました。
今回は残りの5つの態度を例示していきます。

(1)「ひたすら謝る」
(2)「拒否する」
(3)「フォローしない」
(4)「無責任」
(5)「無礼」
(6)「たらいまわし」
(7)「文書作成優先」
(8)「警察風」


(4)「無責任」
あなたがクレーム対応する際に、心の中で「どうせ、わたしがしたわけではない」「パート(アルバイト)だし・・・」といったように考えているなら、それは改めてください。ましてや、お客様に「私はアルバイトなので、わかりません」「私はそのようなことはしていませんので、わかりません」というような自分には責任がないことを主張するだけの対応はやめてください。お店や会社の品位が下がります。立場はどうであれ、お客様の前にいる限りはプロであり、あなたがお店や会社の顔なのです。

(5)「無礼」
おい客様への誠実な対応を忘れ、ぶっきらぼうに対応したり、最悪なときには無礼な態度や言い振りをしたりすることはやめましょう。確かにあなたにとってクレームを言うお客様は不快な存在なのかもしれません。しかし、クレームは「あなた自身」に対するクレームなのではないのです。お店や会社の商品サービスに対するものであり、あなたから切り離されたものに対してクレームを言っているのです。お客様に敵対的な態度をとるのは間違いです。仕事として、丁寧な対応を徹底させましょう。

(6)「たらいまわし」
病院の受け入れ拒否ではありませんが、スタッフや部門間でお客様をたらいまわしにするのは最悪の対応です。

私は担当ではないので、担当を呼んでまいります」といったように、お客様を待たせたり、あちこち足を運ばせたりするのはそもそもクレーム対応になっていません。

お客様の不満や苦情を和らげ、問題を解決していくことがクレーム対応の第一の目的なのですから、お客様にそれ以上の不快感を与えてしまうのは最悪です。

(7)「文書作成優先」ケース
あなたのお店や会社ではクレームを受け付けたら、まず報告書のような何かしらの文書を作成することが決まっていることでしょう。

その文書には必ず、お客様の名前や住所、お買い求めの商品、サービスなどの記述があります。お客様のクレームの内容を聞くよりも、文書に記入することを優先してしまい、お客様が十分にクレームの内容を言い切ることができない、もしくはフラストレーションを感じる対応はしてはいけません。クレーム対応は「文書作成」が目的ではなく、お客様の不満や苦情をどのように解決していくかなのです。

(8)「警察風」ケース
「クレーム内容が妥当かどうか」「間違いはないのか」というお客様への疑念から、対応したスタッフがお客様に「本当にそうでしょうか?」「何か証拠は?」「説明書はお読みになりましたか?」といったように、いわば警察風に尋問してしまう対応はしてはいけません。

重要なことは、お客様がクレームを言うほどの不満や苦情を感じたというその原因を究明することであって、お客様のクレーム内容が妥当かどうか、本当かどうかは問題ではないのです。